こんにちは、ハルです。
【JLPTに合格させる教え方・聴解のコツ】をたくさんの方に読んでいただきありがとうございました。
JLPT聴解のコツは
即時応答と発話表現でしたね。
前回の記事でもお伝えしましたが、聴解は高得点が狙えるところです。
・即時応答と発話表現の練習の仕方が分からない
・具体的に教えてほしい
そのお悩みにズバリお答えします。
現役日本語教師の私が実際に効果的だった練習方法を例題を使って教えます。
これを見れば新人の先生方も自信を持ってJLPT対策の授業ができます。
問題に慣れる
聴解は問題に慣れる!ということが一番のポイントになります。
毎日、同じ日本語を聞いていると、頭で考えなくても自然と言葉が出てくるようになります。
そのいい例がアルバイトです。
ときどき「お先に失礼します。」といって帰る学生がいます。
学校では教えていないのに、いつの間にか身についています。
この状態をつくるためには毎日の練習が欠かせません。
毎日と言ってもたくさん時間を取る必要はありまん。
授業開始の5分だけCDを聞いたり、QAを繰り返すだけで効果はあります。
毎日の日課にすることができれば、聴解の得点を数点アップさせることができます。
では、どんな練習方法がいいのか詳しく見ていきましょう。
話しことばに慣れる
聴解で高得点を狙うポイントは、話し言葉に慣れる!ということです。
聴解は一回音声を聞いて瞬時にその言葉の正しい意味を理解しなければならないので、学習者にとっては難しく感じてしまいます。
何故、難しく感じるかというと、N4・N3レベルを目指す日本語学校の1年生にとっては「ます形」での会話に慣れているので、普通体や縮約形の使われる話しことばの意味が分からず答えを見つけられなくなってしまうからです。
ですから、話し言葉に慣れるための練習が必要です。
その際、効果的なのが即時応答など短めの会話文で練習することです。
短い会話文なら学習者に負担が少なく、また日常的によく使われる内容だと記憶に残りやすいからです。
前回の記事でも書きましたが即時応答と発話表現の練習は練習した分だけ得点アップが狙えます。
覚えてしまえばいいので、同じ問題を繰り返し練習させましょう。
例えば、縮約形には
・この仕事やっておいてください。
→この仕事やっといて。
・また失敗してしまった。
→また失敗しちゃった。
・今日は早く帰らないといけません。
→今日は早く帰らないと。
・山田さんが明日休むと言っていました。
→山田さん、明日休むって。
・違う電車に乗ってしまいました。
→ちがう電車に乗っちゃったね。
・それに触ってはいけません。
→それ、触っちゃだめ。
・授業がもうすぐ始まってしまいます。
→もうすぐ始まっちゃう。
などがあります。
練習するときのポイントは、
女:また、失敗しちゃった。
男
①よかったね。
②そうですか、分かりました。
③そんなに気にするなよ。
先ず、「失敗しちゃった」に「失敗をしてしまった」残念の気持ちが込められていることを確認します。
さらに、自分だったらどんな言葉をかけてあげるか聞いてみます。
「そんなに気にするなよ」以外に「また頑張ればいいよ」「元気だして」などがでてくれば、「~ちゃった」が残念の意味だと記憶に残るはずです。
さらに、「間違えちゃった」「怒られちゃった」「寝坊しちゃった」など他の言葉に「~ちゃった」を接続させて発表をさせてみるのもいいです。
自分の口に出して言ってみて、自分で考えさせて、自分で答えを見つける作業が大事です。
自分で考えたことは忘れません。
また、イントネーションや曖昧な表現の練習も同様にしていきましょう。
男:あ、山本さんじゃない(⤵)久しぶり。
女
①いいえ、木村ですよ。
②久しぶりではありません。
③ご無沙汰しております。
「山本さんじゃない(⤵)」が確認であり、「山本さんじゃない(⤴)」の?の意味ではないことを確認する。
日本語にはイントネーションで言葉の意味が変わるものがたくさんあります。
コンビニのアルバイトで
留学生:袋いりますか?
お客様:いいです(⤵)
の話で盛り上がったことがあります(笑)
発表させるといろいろ出てきます。
女:明日の会議出るでしょ?
男
①うん、そのつもり。
②ああ、そうだった。
③ああ、そうしておいて。
「出るでしょ?」が「出ますね?」の確認の意味であることを確認。
他の言葉も見つけてみる。
例:「食べるでしょ?」「行くでしょ?」「やったでしょ?」
何度も言いますが、自分の口に出して言ってみて、自分で考えさせて、自分で答えを見つける作業が大事です。
毎日の積み重ねが大きな力になります。
発話表現はゲーム感覚で
もう一つ高得点が狙えるのが発話表現です。
発話表現は場面状況を理解し話し手がなんと言うか判断する問題です。
実際のコミュニケーションに近い場面や状況の問題が多いため学習者にとって身近であり、また、日常生活にも役立つ表現として記憶に残りやすいです。
ですから、イラストを見せ場面状況だけを説明し、「何と言いますかゲーム」を行います。
既習文型が増えれば増えるほどいろいろな言い方が出てきます。
状況に合っていればどんな表現でもOKだし、あっていなければ何故違うかを考えます。
例えば、
会社の人にペンを借りたいです。何と言いますか?
・ペンを貸してくれませんか。
・ペンを貸していただけませんか。
・ペンを貸してください。
・ペンを貸していただけないでしょうか。
何かを頼むときに使う文型がたくさん出てきたらOKです。
レポートを読む→レポートを読ませていただけませんか。
紹介する→紹介してくれませんか。
説明する→説明していただけないでしょうか。
など併せて練習してもいいです。
N4ならN5の問題も、N3ならN4の問題もイラストを用意して、テンポよく練習すれば時間はそんなにかかりません。
私はいろいろな問題集から発話表現の問題だけを集めてオリジナルPPTを作っています。
問題を解くポイントを知る
N3の聴解の問題の構成は
- 課題理解
- ポイント理解
- 概要理解
- 発話表現
- 即時応答
となっています。
課題理解(大問1)なら、聞いた情報から、情報のポイントとなる部分「何を・いつ・どこ・だれ・どれ」などを聞き取ることができるかが重要となります。
ですから、問題を聞いてポイントとなるキーワードのメモを取ることが大切です。
このメモを取る作業を学習者でする人は少ないですが、聴解で高得点を取れる学習者はメモを上手にとっています。
普段からメモを取る練習をさせましょう。
ポイント理解(大問2)は初めに質問を聞いて、それから問題用紙の選択肢を読みます。
この問題で難しいのは、会話文の中の曖昧な表現から話者の気持ちを推測しなければならないことです。
話し言葉が正しく理解できないと、話者の気持ちを汲み取るのことができません。
ですから、先ずは発話表現などの短い会話文で話し言葉に慣れることから始めましょう。
概要理解(大問3)では対話ではなく1人が話す文を聞いて話の大まかな内容を理解しなければいけません。
何について話しているのか大まかな内容を理解し、何が言いたいのか推測する力も必要になります。
普段から文章を聞いた後で、何について書かれているかQAをするといいです。
例えば、JLPTのお知らせでもいいです。
お知らせを読んで聞かせた後に、
・いつまでに申し込む?
・試験はいつ?
・何を持って行かなければいけない?
など、QAを繰り返すと、情報のポイントを聞き取る力が身に付きます。
おすすめのテキスト
ドリル&ドリル日本語能力試験(UNICOM Inc.)
普段のカリキュラムの中でJLPT対策週間を作るような場合に最適な分量です。
この1冊で聴解と読解に対応していること、解説が詳しいことの理由から日本語学校で取り入れているところも多いです。
JLPT聴解N3ポイント&プラクティス(スリーエーネットワーク)
短期間でJLPTの問題形式の練習ができる、新しいテキスト。
全12回という分量が集中して対策するのにちょうどよく、リストパートには学習者の苦手な話し言葉やイントネーション、敬語などがまとめてあります。
解説も詳しく独学にも使えます。
新完全マスター聴解 日本語能力試験(スリーエーネットワーク)
学習者の苦手な縮約形、イントネーション、曖昧な表現や高得点アップにつながる即時応答や発話表現の練習に最適。
部分練習から練習問題まであるので、授業で詳しく教えるときに取り入れやすい。
解説も詳しいので新人の先生からベテランさんまでに使いやすい1冊です。
さすが「みん日」発行のスリーエーネットワーク社!
テキストの音声が無料でダウンロードできるので、授業中CDを用意する手間が省けます。
音声のダウウンロードは公式HPからできます。
お試しで視聴してみてください。
まとめ
聴解で高得点を取る練習ポイントは
- 話しことばに慣れる
- 毎日練習問題に触れる
- 自分の口で言って、考えさせて、答えを見つける
- メモを取りながら聞く
- 情報のポイントを聞き取る力を養う
クラス全員のJLPT合格を目指して授業を工夫していきましょう。
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