こんにちは、ハルです。
JLPT合格の決め手になるのが読解の攻略法。
でも、なかなか簡単なものではありません。
読解に苦手意識をもっている学習者はとても多く、長文を見ただけで「できない」と思い込んでしまいます。
でも、何とか足切り点をクリアしたい。
読解は難しくないと自信を付けさせたい。
でも、聴解のように簡単には伸ばせないし…と諦めていませんか。
読解の問題で点を取るためには先ず読解力を身に付ける練習が必要です。
では、どうやって読解力を身に付けるのか?
現役日本語教師の私が、実際に授業に取り入れ効果的だった方法をお教えします。
読解を諦める前にぜひ実践してみてください。
語彙力と読解力は比例
そもそも読解力ってどんな力なの?
読解力とは「文章理解」と「語彙知識」と言われています。
文章を読むうえで、語彙の意味が分からなければその内容を正しく理解することはできません。
また語彙知識があっても、文章の背後にある意味の理解ができなければ、内容理解が難しくなります。
つまり、読解力を伸ばすためには「語彙知識」が必要であり、語彙力が高くなればなるほど、「文章理解」も高くなるということになります。
ですから、読解を克服するためには、先ず語彙力を伸ばす必要があります。
では、どのくらいの語彙を覚えなければならないかというと、
- N1 漢字 2,000語 / 語彙 10,000語
- N2 漢字 1,000語 / 語彙 6,000語
- N3 漢字 600語 / 語彙 3,000語
- N4 漢字 300語 / 語彙 1,500語
- N5 漢字 300語 / 語彙 1,500語
と言われています。
日本の小学校6年間で習う漢字が1,000語と言われているので、N2の学習者は私たちが6年間かけて覚えた漢字と同数の漢字を短期間で覚えなければいけないという訳です。
学習者が漢字を覚えられない!というのは当然のことです。
しかし、覚えなければ文章が読めず、内容理解もできません。
コツコツと漢字や語彙は覚えるしかないのです。
覚え方は人それぞれ得意な方法がありますが、文章を読んでいて、また語彙を覚えていて、わからない言葉が出てきたら、自分で調べることが大事です。
今は携帯で簡単に調べることができます。
分からない語彙は自分で調べその意味を自分の力で理解する。
その語彙を使って例文を作って記憶に残す。
先生の説明を聞いているだけでは語彙を覚えることは難しいです。
以前、担当したクラスに漢字が得意じゃないネパールの学生がいましたが、彼は毎日漢字の復習をコツコツ続けることができました。
ある時、100問の漢字テストでクラス平均が50点台の中、一人90点という高得点を取りました。
また、JLPTの一か月前から毎日Googlefoamsの語彙テストを配信したことがありました。
その時、真面目に取り組んだ学生の文字語彙の結果は、やらなかった学生に比べるといい点数を取ることができました。
継続は力なりです。
読む習慣をつける
読解力を身に付けるためには文章を読むことに慣れる必要があります。
文章のジャンルは何でもいいですが、ここでポイントとなるのが考えながら読む習慣をつけることです。
考えながら読むとは、文章を読みながらその文章の背景を考えたり、自分だったらこうするとか、国の文化と比較したりすることを言います。
とにかく何でもいいから考えることが大切です。
また、わからない語彙がでてきたら、先ずは調べずその前後の文脈から内容を推測することも重要です。
ただ、文章を読むだけとは違い、考えながら読めるようになると内容理解力にも繋がります。
それを習慣化させるためには毎日行うことが重要です。
文章は問題にこだわらず、ネットニュースとかなんでもいいと思います。
興味のあることを日本語で読んでみる。
何でかな?と考えてみる。
昨日読んだニュースについて、授業前の数分を使い発表させてもいいでしょう。
習慣化させることは簡単なことではありませんが、それができたときの力は想像以上に大きくなります。
読んだらアウトプット
読解力をつける最大のコツはアウトプットすることです。
文章を読みその内容をアウトプットすると内容を理解でき解釈する力につながります。
その方法としておススメなのが要約です。
簡潔に文書をまとめる要約は内容理解ができていなければできません。
ですから、その練習をさせると読解力につながります。
要約の練習をする際、重要なのが自分のレベルより少し下の文章で練習することです。
分からない語彙や文法だらけの文章を読んでいても要約にたどりつけません。
ですから簡単に読めるレベルの文章を読み、簡潔にまとめる練習をします。
最初は短めの文章から始めて、少しずつ文章を長くしていくといいでしょう。
いきなり要約が難しければ、質問を用意してそれにこたえる形からスタートしてもいいでしょう。
例えば、文章をいくつかのブロックに分けて、
どんなことがありましたか?
筆者はどんな気持ちでしたか?
など、その部分の内容の質問に答える方法を取ることから始めます。
授業での取り入れ方
では実際にどのように要約の練習をしていくのかというと、先ず学習者のレベルより低めのレベルの文章を用意します。
N4だったらみんなの日本語の課末の読み物でもいいですし、初級で読めるトピック25のテキストを使ってもいいです。
文章の長さによって読む制限時間を与えます。
先ずは時間内に最後まで読めることが目標です。
読みながら、わからない言葉に〇でも線でもいいのでマークをさせます。
時間がきたら途中でも終わりにします。
最初は内容理解のQAをしていきます。
質問を考える際のポイントは要約の際に必要となるキーワードを含む質問を考えることです。
長い文章なら段落ごとに考えるといいでしょう。
最後に、QAをの答えを接続詞を使ってつなげ簡潔にまとめていきます。
まとめたことを発表したり、友だちに本の紹介をさせたりするとさらに理解が深まります。
おすすめのテキスト
要約の練習で使えるテキストはこちら。
テーマ別中級から学ぶ日本語(KENKYUSHA)
N3レベルの学習者向け。
読解のテキストではありませんが、読解力を身に付ける練習にいいテキストです。
文章を読んで、内容理解のQAをして、要約の練習までをすることができます。
中級クラスの授業で使われているテキストですがこの一冊で文法、書く、話す、応用力を身に付けることができます。
新完全マスター読解(スリーエーネットワーク)
完全マスターは読解問題を解くテクニックを段階的に練習することができます。
読解が苦手な学習者が読解の問題に慣れる、解くコツをマスターできる作りになっています。
教える側にとって使いやすいテキストなので完全マスターシリーズはおすすめ。
必ずできるJLPT読解(アルク)
短い文章から長文まで、たくさんの文章で練習することができます。
毎日一問解くことで、毎日文章に触れ、読む習慣をつけることにつながります。
内容理解の練習にも最適。
まとめ
読解力を身に付けるポイントは「文章理解」と「語彙知識」
毎日コツコツ行うことは簡単なことではありません。
ですから学習者が楽しめるような練習方法の工夫が必要です。
要約の練習は紙に書くだけではなく、例えば携帯を使ってメールで打たせたり、Googleクラスルームを使って提出させたり、やり方はいろいろ考えられます。
自分で毎日文を読むことができればいいですが、それができないうちは手を貸してあげることが必要です。
私は以前、日直さんに昨日読んだニュースや本について授業開始の5分を使い発表してもらっていました。
明日は日直だ!のプレッシャーからニュースを気にして読むようになったり、ニュースの話題について意見が飛び交う!なんて日もありました。
なんでも試してみると意外な結果がついてきたりするので面白いです。
ぜひ、皆さんの授業でもお試しください。
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