日本語教育における 【自律学習】 学習者のやる気をアップさせる方法

こんにちは、ハルです。

突然ですが、「自律学習」という言葉を聞いて説明ができますか?

日本語教育に携わっている方なら一度は聞いたことがあるこの言葉。

また、日本語教育能力検定試験に向けて勉強中の方は絶対に知っておかなければいけない言葉です。
何故なら、度々試験に登場しています。

この言葉、なんとなく知ってるけど、でも実際に学習者に促している人は少ないのではないでしょうか?

私も検定試験で覚えた言葉でしたが、その意味を深く理解することなく今に至っていました。

しかし、その重要性を知る出来事があったので皆さんと共有したいと思いました。

これを読めば、自律学習の重要性と、学習者のやる気をアップさせる方法が分かります。

自律学習とは

日本語教育においての【自律学習】を調べてみると、

「自律学習」とは学習者自身が自らの学習に主観的に関わり学習を孤立せず教授者や教材や教育機関などといったリソースを利用して行う学習をいう。
引用:梅田康子氏論文より

なんとなく、自分で学習計画を立て意欲的に勉強をする!というイメージは分かりますが、進んで勉強するって難しいですよね。

ましてや留学生となると文化の違いからか、目標に向かって自ら進める人は少数派のような気がします。

ですから、この言葉を知っていたにも関わらず、「それって日本語学校の留学生には無理じゃない?」という先入観から深く考えることなく過ごしてきました。

しかし、留学生にこそこの自律学習が必要であることがわかりました。

自律学習を促すには?

コロナ禍の水際対策強化に伴い、二年間留学生の入国がストップしました。

水際対策が緩和され待ち待った留学生が入国し喜んでいたのもつかの間、日本語学校には大きな問題がおこりました。

日本語能力の差でした。

今までもできる人、できない人のその差は存在していましたが、今回は今までに経験しことのないほどの大きな差がありました。

入国できずにいた二年間、勉強せずに過ごしてきたせいか日本語が通じない、平仮名すら書けない留学生が多くいました。

一方で、N3レベルまで日本語能力をあげて入国した留学生もいました。

この二つの違いは、言うまでもなく勉強量の差でした。

学校によっては日本語の授業を動画に撮って現地に送ったり、オンラインでレッスンをしたりしていたところもありましたが、やるかやらないかは本人次第。

やった人はレベルが上がり、やらなかった人はできないというそのままの結果でした。

勉強しなかった自分が悪い!と突き放したいところですが、日本語が分からない人をクラスに入れても授業をただ眺めているだけになってしまいます。

そこで、取り出して個別指導をすることになりました。

先ず、行ったのは「みんなの日本語」の1課からの音読でした。
毎日、ただ例文を10回音読して、平仮名で例文を書かせる。カタカナで例文を書かせる。

ノートをチェックし、字形を直して書き直させるだけを毎日繰り返しました。

一週間すると変化が表れました。

最初はゆっくりしか読むことができなった例文が、ナチュラルスピードで読めるようになり、発音も滑らかになっていきました。

さらに、五十音がかけるようになり、初めたころ全く会話が成立しなかった学習者と少し会話ができるようになりました。

一番の驚きは、この作業を喜んで行うようになったことです。
ノートに書くことは宿題にも出しましたが、毎日欠かさずやってきました。

例文の音読は日に日に声が大きくなりました。

この変化がどうして起きたのか?というと、学習者自身が自分の変化に気付き始めたからでした。

「日本語がわかるようになってきたぞ…」と。

語学学習で一番やる気を出させることは、できるようになった喜びを実感させることです。

まさにそれが起きていました。

その後、取り出しは終わりましたが、その後も家での勉強は自主的に続きました。

反転授業は自律学習の始まり?

学習者の勉強したいという気持ちを後押しすることができれば、学習者の自律学習へつながるのではないか?

自律学習を促すような授業はできないだろうか?

ではどうやって?

ここでもう一つのキーワードが【反転授業】です。

コロナ禍でオンライン授業を行った学校で取り入れられた反転授業。

この言葉も日本語教育能力検定試験で登場するくらい日本語教師を目指す人は知っておかなければならない言葉です。

反転授業はとは、あらかじめ用意した動画を学習者が自宅で見て、「どうしてなんだろう?」と自分で考え答えを導く学習方法です。

学校は自分の仮説が正しいかの確認の場になったり、疑問に思ったことを質問する場になったりします。

与えられた課題を自分の力でなんとかしなくてはいけないので、自ら調べたり、頭をフル回転させながら理解しようとします。

「課題を与えられる」と考えると、自律学習の定義からズレるようにも思いますが、留学生が一人で、何とか理解しようと行動するわけですから、これもある意味自律学習とは言えないでしょうか?

オンライン授業が終わり対面授業に戻りましたが、この方法を授業に取り入れられたら、学習者の自律学習を促すことができるかもしれません。

留学生にこそ必要な自律学習

自律学習の言葉を調べていると、こんなことも書いてありました。

学習者の最終目標は日本語能力を高めることではなく、それを手段として有効に使えるようになること。
引用:梅田康子氏論文より

日本語教師はついつい学習者の日本語能力を高めることだけに意識が行きがちですが、学習者の本来の目標は、身に付けた日本語を使って日本で暮らしたり、仕事をすることです。

「もっと日本語が上手になりたい!」という気持ちを後押しできなければ、教室だけの学習に留まってしまいます。

それでは日本語能力をあげることは難しいです。

学習者を自律学習へ促す。

なかなか大きな課題であります。

ひとつ言えることは、学習者自身の学びたい気持ちを引き出すためには、教師が学習者の苦手に気づく必要があります。

書けないのか、話せないのか、聞き取れないのか…
それぞれの苦手を理解しそれができるようになる手助けする。

勉強すればわかるようになり、できるようになる喜びを実感させてあげられれば、「もっと日本が上手になりたい。」につなげることができます。

学習者をやる気にさせることは簡単なことではありませんが、今できることは何かを考え小さなことから始めてみましょう。

私は初級クラスでは例文音読を今まで以上にするようにしました。
口頭練習をして語彙や漢字練習をする。
口頭練習をしてから練習問題の答えを書かせる。

アウトプットを意識した授業を心がけ「わかる」「できる」を増やしていきました。

話せる喜び、わかる喜びは学習者のやる気をアップさせます。

まだまだ自律学習の域まではいけていませんが、「できる喜び」を少し実感させてあげられているようです。

まとめ

日本語教育における自律学習の大切さをわかっていただけたでしょうか。

日本語教師として、学習者を引っ張る授業ではなく、学習者の背中を押してあげられるような授業を考えてみてください。

学習者が「もっと日本語が上手になりたい。」と自ら勉強したい気持ちにさせる。

そんな気持ちにもっていけるような日本語教師になりたいものです。

みなさんの授業がブラシュアップできますように。

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