こんにちは、ハルです。
日本語教師にデビュ―されたみなさん。
学習者とのレッスンを楽しんでいますか?
いやいや、ハルさん。
毎日、授業準備に追われて楽しむ余裕なんて…
そんな声が聞こえてきそうです。
また、日本語教師としてスタートを切ったものの、本当にこのやり方でいいのか?不安に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
私も、「今日の授業はイマイチだったな…。」と反省することがあります。
そんなときはたいてい準備不足か授業の構成がおかしいことが原因です。
日本語教師に限らず、講師業は準備が仕事の成功を握るカギとなります。
忙しいからと言って、また慣れてきたからと言って、準備に手を抜いてはいけません。
手を抜くな!といったものの、時短できるものはどんどん活用しましょう。
押さえるポイントを忘れず、要領よく手を抜くことが日本語教師を長く続けるコツかもしれません。
教案の書き方については多くのサイトで紹介されていますが、今回は他ではあまり紹介されていない構成について解説します。
これを読めば、授業のブラッシュアップに役立ちます。
ぜひ、最後までお読みください。
授業準備・教案はこれを押さえる!
準備の第一段階として教案作成があります。
教案に書くべきこと
- 目標(Can-do)
- 意味用法
- 類似表現
- 既習語彙や文型
- 時間配分・流れ 他
みなさんもよく知っている項目です。
ここで押さえておきたいポイントが二つあります。
それは、類似表現と学習者が起こしやすい誤用です。
もちろん、文型の理解(意味・機能・形)は文法解説はしっかり読み込んでおく必要がありますが、既習の類似表現と学習者にとって文型のどのような点が難しいと考えられるか、どのような間違いを起こしやすいか整理しておく必要があります。
類似表現
日本語には似たような表現が多くあります。
例えば、
- 今にも雨が降りそうだ。(様態)
- 雨が降るそうだ。(伝聞)
「~そうです」には43課で学習する様態と47課で学習する伝聞があります。【みんなの日本語Ⅱ・第2版】
同じ「~そうです」でも形・意味用法が違います。
このような類似表現がある文型が学習者にとって一番理解に苦しみます。
一つの文型だけを練習していたら、難なくできますが、二つ文型をミックスして練習させるとできなくなります。
意味にあった接続が正しくできなくなります。
ですから、類似表現のあるものは、違いをしっかり理解させなければいけません。
絵カードを見せたり、演じてみたり、例文を用意したり、レベルにあった方法で説明できるように準備しておきましょう。
また、「おいしそうだ」は使うのに「きれいそうだ」は使えないのか?
こういった疑問にも答えられるように準備する必要があります。
誤用分析
この文型だと、このような誤用があるだろう?
これとこの文型は間違えやすいだろう?
なんでこれは違うのか聞かれるかもしれない?
学習者が間違えるだろうと思われることと、学習者からの質問を予想して調べておかなければいけません。
誤用は無意識のうちにするものなので、訂正しどうして間違いなのかを理解させる必要があります。
日本人の私たちは無意識に使い分けができますが、学習者は形や用法を理解し使い分けをします。
ですから、理解できる説明を心がけないといけません。
初級クラスなら絵を見せたり、中・上級ならたくさんの例文を用意し「なるほど!」とうなるまで練習する必要があります。
この準備は手を抜かず、まずは自分自身がしっかり理解して授業に臨むことが大切です。
日本人だからと言ってすべてが上手く説明できるとは限りません。
不意に聞かれた質問に上手に答えられず冷や汗をかく…なんてことよくあることです。
ここが日本語を教えることの難しさでもあります。
私は「日本語文法と教え方のポイント」スリーエーネットワーク社の文法解説書を参考にしています。
学習者の誤用や、類似表現についての説明が詳しく書かれているのでおすすめです。
授業の構成を考える
授業の構成についてです。
意外とみなさんやりがちな間違いが、この順番で構成を考えます。
- 文型導入を考える
- 文型練習を考える
- 会話練習を考える
何が違うの?って思う方が多いと思います。
たしかに、【みんなの日本語】ではその流れで文型導入(A)→文型練習(B)→会話(C)になってますね。
でもここで押さえるべきポイントとなるのが、
構成を考えるとき、先ず最終目標を達成させることを考えなければいけないということです。
学習の目標とはCan-doです。
授業の最終目標は学習する文型が実生活で使えることです。
では、そのためにどのような会話練習が必要か?
どのような発話表現を学ぶ必要があるか?
先ずここから考え始めます。
そのために、どのような基本練習が必要か?を考え、それに適した場面設定で導入を考えます。
つまり、逆から考え、最終目標を達成するための導入を吟味しなければいけません。
みんなの日本語でチームティーチングをしている場合は会話(C)を意識して、また専門課程での授業やオンラインレッスン、養成講座の実習、採用試験の模擬授業の場合は、目標からやるべき練習、導入の順番に考えていくこの考え方で構成を練ってみてください。
授業の目標が達成できない構成では学習者は満足できません。
授業で大切なこと
初めて、授業をする方にとってどのように話したらいいのか?よくわからないと聞きます。
新人の先生の教室をのぞくと先生が緊張してガチガチで授業している!なんて姿も時々見られます。
そんな先生に二つのアドバイスすることがあります。
一つ目は先生自身が楽しみましょうということ。
何かを伝えるとき、その人の想いは相手に伝わります。
自分自身が元気がなかったり、楽しんでいなければ、その思いはそのまま相手に伝わります。
想いをは伝染します。
一生懸命に話せば相手は注目するし、熱く語れば大事なんだとメモを取ります。
二つ目は、必死になりすぎないことです。
ついつい一生懸命になりすぎて先生ばかりが話している!なんてことがありがちです。
先生の声は20%までです。
授業はプレゼンテーションではありません。
授業は学生が主役ですから、学習者にたくさん話してもらいましょう。
口を動かし、言葉を発して初めて記憶に残ります。
記憶に残こる授業を心がけましょう。
まとめ
「学習者はここが迷うだろうな」と思うことや、「こんな質問が来るかも?」をあらかじめ想定しておくことが準備段階で最も重要になります。
対面授業の大変さは数十人を自分ひとりで見て行かなければいけないことです。
数十人いると、想定外の質問が飛び出したりして新しい発見があります。
また、学生に助けられることもあり、そこが対面授業の面白さだと思います。
準備の大変さが「日本語教師は割に合わない」と言われる要因になっていますが、手を抜くところ、抜いてはいけないところを押さえれば準備も時短できます。
今回の構成のポイントは忘れがちなことですが、日本語を教えるうえでとても重要なところです。
目標が達成できる授業ができなければ、授業の内容を見直す必要があります。
その際の参考になれば嬉しいです。
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